小規模企業共済とともに、獣医師にとって節税効果の大きい制度がiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)への加入です。
iDeCo(イデコ)は獣医師にとって小規模企業共済よりも加入資格に制限が少なく、利用しやすい国の制度です。
iDeCoのメリットその1.積立金の全額が所得控除できる
掛金の上限は、法人の役員となっていない獣医師で月額68,000円(年間816,000円)、法人を設立し、役員となっている獣医師で月額23,000円(年間276,000円)です。
※iDeCo(イデコ)加入前(課税所得1000万円の場合)
課税所得1000万円(収入ー必要経費ー各種控除)の例 | |||
課税所得 | 所得税 | 住民税 | 税金合計 |
1,000 万円 | 180万円 | 100万円 | 約 280 万円 |
※iDeCo(イデコ)に月額5万円加入後
課税所得1000万円(収入ー必要経費ー各種控除)の例 | |||
課税所得 | 所得税 | 住民税 | 税金合計 |
940万円 | 160万円 | 94万円 | 約 254万円 |
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)に加入するだけで、所得税、住民税合わせて年間約26万円の節税となります。
年間60万円の掛金で約26万円の節税。多少管理費等のコストかかりますが、運用益がゼロとしても年間40%以上の積み立て投資と考えられますね。
イデコは原則誰でも加入できるので、例えば青色専従者の奥様の給与を月額3万円増やしてあげて、奥様がイデコに加入します。
奥様も全額所得控除できるので、奥様の年収が年間36万円増えてもかかる税金は今までと変わらず、先生の課税所得は年間で36万円下がります。
iDeCoのメリットその2.受け取り時の税金が少ない
原則60歳になるとiDeCo(イデコ)の受給権が発生します。
積み立てた個人型確定拠出年金を一時金で受け取る場合は、小規模企業共済と同じく、「退職所得」として受け取れます。
これが獣医師にとって大きなメリットになります。
(例)20年間iDeCo(イデコ)の掛け金を払い、運用益を加えた積立金を共済金を1000万円を一時金で受け取った場合の所得税 | |||
(受取った共済金1000万円ー退職所得控除800万円)×1/2=100万円(退職所得)
この退職所得に分離課税で所得税率がかかります。
上の例だと、退職所得100万円×所得税率5%=約5万円(所得税) |
1000万の収入に対する税金がなんと5万円です!
小規模企業共済と合わせれば、個人事業主の獣医師の先生一人分だけでも月額138,000円(年間156万6000円)の所得控除が使え、大きな節税につながります。
iDeCoのメリット3。運用益が非課税
イデコの運用益は非課税です。どんなに運用益が大きくなっても非課税です。通常引かれる約20%の源泉所得税分も運用に回せるので、複利効果が大きいです。
iDeCoのデメリット
1.原則60歳までは積立金を引き出せない
ある意味、若い獣医師の先生にとってはこれが一番のリスクかもしれません。
途中教育費、住居費などで使う必要のない、余裕資金の範囲で掛ける必要があります。
(資産の組み換えによる節税)
もし終身保険などの長い積み立て保険を掛けているなら、こちらの記事を参考にして下さい。
→「生命保険の掛け金をiDeCoに切り替えて効率運用する方法」(準備中)
2.毎年コストがかかる
イデコには次の3つの手数料がかかります。
① 加入時手数料 ・・・初回のみ
国民年金基金連合会に対する一時的なコストとして2,829円(税込)の手数料
② 継続中にかかる手数料
国民年金基金連合会に支払う「事務手数料」と、信託銀行に支払う「資産管理手数料」 合計で年間2,052円(税込)かかります。
③ 運営管理手数料
運営する金融機関に払う手数料です。金融機関により異なりますが、無料のところが増えてきました。
イデコは自分で運用対象を選ぶ必要があります。株価や為替などの変動が嫌だ、という場合には、元本保証商品もあります。
上記に納得の上なら、個人開業医ができる節税策として、また老後資金の準備としては、大変優れた制度です。
個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)についての詳細は、iDeCo公式サイトをご覧ください。