獣医師と小規模企業共済

小規模企業共済とは、経済産業省所管の中小機構(中小企業基盤整備機構)が運営する「退職金制度」です。

 

退職金制度ですが、個人事業主である獣医師の先生や、共同経営者の奥様もご自身で加入することが出来ます。

・小規模企業共済のメリット その1

 共掛け金の全額(上限は月額7万円、年間84万円)が所得控除できる

※小規模企業共済に加入しない場合の税金負担(月額5万円課税所得1000万のシミュレーション)

課税所得 所得税 住民税 税金合計
 1000万円 176万円  100万円 276万円

※小規模企業共済に加入した場合の税負担(月額5万円、課税所得1000万のシミュレーション)

課税所得 所得税 住民税 税金合計

 940 万円

156万円  94万円 250万円

小規模企業共済に加入するだけで、年間約26万円の節税になりました。

年間積立額60万円に対して26万円の節税額・・・

これって単純に考えて、年利43%に該当しますよね。

 

世の中には節税になっても、お金が外部に流れてしまう節税がほとんどです。

小規模企業共済は、全額経費になる積み立て制度といえます。

小規模企業共済のメリット、その2

 共済金を一括で受け取っ場合、退職所得となる

動物病院を閉院したり、65歳以上で180か月以上掛け金を払い込んだ等の規定を満たすと、退職所得として共済金を受け取れます。

この退職所得というのがまた税制上のメリットが極めて大きいのです。

 

(例)25年間小規模企業共済の掛け金を払い、共済金を1500万円受け取った場合の所得税

(受取った共済金1500万円ー退職所得控除1150万円)×1/2
=175万円(退職所得)

この退職所得に「分離課税」で所得税率がかかります。

つまり、他の所得と合算する必要がないので、きわめて低い税率が適用されるのです。

 

上の例だと、
退職所得175万円×所得税率10%-控除約10万円=約75,000円(所得税)

1500万円の収入に対して75,000円の所得税。

なんと0.5%の税率です・・・

 

このようなメリットが大きい小規模企業共済は確定拠出年金(IDECO)と重複して加入できるので、積立金月額は最大で138,000円が所得控除でき、開業獣医師の先生が退職所得の優遇税制を2度使える、非常に大きいメリットを享受できるのです。

小規模企業共済のデメリット

1.加入資格に制限がある

開業獣医師の場合、常時使用する従業員が5人以下の先生に限られる(従業員が少ないうちに加入すべき)

 

 

2.短期解約の場合元本割れする
加入20年未満で任意解約した場合、掛け金の総額を解約金が下回る

 

3.65歳未満で在職中の解約の場合、退職金優遇税制が使えない
65歳未満で任意解約すると、退職所得ではなく、一時所得となり、退職金に比べ高い所得税がかかる。

 

など注意事項もあります。

小規模企業共済についての詳細は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)のウェブサイトをご覧ください。